書評

【書評】遺伝子の社会

2020年6月28日

書籍

遺伝子の社会
イタイ・ヤナイ(著)、マルティン・レルヒャー(著)、野中香方子(翻訳)
NTT出版 / 2016年10月17日

評価 :5/5。

概要

生物の進化は遺伝子が利己的に行動した結果ですが、全体論的な視点で捉える必要があります。ダーウィンの進化論的な考え方が遺伝子社会にも適用することができ、環境への適応度が高い遺伝子を持った個体が生存に有利になり、子孫を増やし、世代を経るにつれてその遺伝子自体が拡散されていきます。

遺伝子の働き

本書では生物における遺伝子の働きを様々な観点から平易な文章で解説されています。がんの仕組みや免疫系の働き、有性生殖の利点、生物の進化における種の別れ方、細菌と古細菌と真核生物の系統樹など。難しい専門用語はほとんど登場せず、重要な用語は丁寧に説明がなされているので前提知識がなくてもどんどん読み進められます。

ゲノムの遺伝的距離

最も印象的だったのは、ゲノムの違いに関する事実です。アフリカのある部族と他の部族のゲノムの遺伝的距離が、ドイツ人と韓国人などアフリカ以外の地域のゲノムの遺伝的距離よりも離れていることが分かっているようです。

人類は40万年ほど前に誕生し、10万年ほど前に一部の部族(家族)がアフリカを離れ各大陸に拡散したのでアフリカ以外の地域の人類は全てこの部族の子孫となります。アフリカの部族はあまり外部との接触がなかったため、遺伝的変異の蓄積が混ざることがなかったと考えられます。