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【書評・感想】賢い人の秘密 天才アリストテレスが史上最も偉大な王に教えた「6つの知恵」【体系的に思考方法を身に付ける】

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賢い人の秘密 天才アリストテレスが史上最も偉大な王に教えた「6つの知恵」

賢い人の秘密 天才アリストテレスが史上最も偉大な王に教えた「6つの知恵」
クレイグ・アダムス(著)、池田真弥子(翻訳)
文響社 / 2022年12月08日

評価 :5/5。

書評

アリストテレス推しのタイトルですが、内容的には論理学的な思考方法に関する書籍です。知性とはたくさんの知識を持っていることに起因するものではなく、あくまでも思考方法であるという立場なので、時代が変わってもその重要性は変わりません。

アリストテレスの研究成果は、説得力が増すとか、記憶力が良くなるといった小手先の技術にはとどまらない。あらゆるトピックのあらゆる会話に潜む思考パターン一式を、アリストテレスは特定したのだ。これらのパターンこそ、今も昔も人の思考を根本から支える原理である。つまり、アリストテレスが発見した思考の仕組みを学べば、現代の私たちも、明敏な頭脳に一歩近づけるというわけだ。自分の頭で考え、より良い判断をし、どんな会話や議論も切り抜ける、そういう思考の手がかりを得られるはずだ。

賢い人の秘密、p.44

本書では6つの知恵として「演繹」「帰納」「類推」「実体」「意味」「証拠」という原理が述べられます。「演繹」「帰納」は物事の論理的関係を見つける方法、「類推」は本来無関係に見える事柄の類似性を見つけること、「実体」「意味」という概念を使って理論のベースとなる事柄の解像度を高め、「証拠」がその確からしさを示す。このような思考方法は高校数学や大学での研究、普段の仕事を通してなんとなく理解していくものであり、体系的に学ぶチャンスはなかったように思います。非常に勿体無いことです。できれば大学生くらいで読んでおきたかったです。

体系的に思考方法を学ぶことができ、人生や仕事における問題解決に役立ちます。また、ニュース記事や報道に接する際も、複数の解釈が可能なデータの一面のみで論理を構成していたり、非論理的な演繹や帰納を使っていることに気づきやすくなると思います。なるべく早い段階でこの思考方法を身につけられれば人生が楽になるな、と感じました。

本書のポイント

  • 知性とは思考方法である(知識の多寡ではない)
  • 6つの基本原理を身につける