概要
一昔前には35歳以上で転職は出来ないと言うのが通説でしたが、実際のところはどうなのでしょうか?転職市場が活発になるかどうかは企業側にこの年代を中途で採用する動機があるかどうかが重要になります。この記事では企業がこの年代をどのように捉えているかを考察していきます。
企業にとっての40歳前後の社員の位置づけ
40歳と言うと係長クラスで数年の実務経験を積んでいる人が多い年代と思います。プレイイングマネージャーのような役割の方も多く最も働き盛りといってもいいのではないでしょうか。
また、数年後に幹部や技術の第一人者など今後の企業の経営を担う重要なポジションにつけるかどうかを選別される非常に重要な年代でもあります。
正社員の人口動態
2020年時点での40歳前後の年代は就職氷河期で企業が採用を絞っていた時期に相当します。日本自体が少子化なので若くなるほど従業員が少なくなるのは当たり前ですが、就職氷河期に採用を極端に絞ったことがダメ押しとなって45歳あたりで正社員数に大きな分断があるようです。
下の表は総務省の雇用統計から抜粋した年代ごとの正社員数の推移です。10歳区切りなのであまり細かいデータではありませんが、2015年と2019年を比較するとこのたった5年の間に35〜44歳の正社員数が6.6%も減少しています。一方で45〜54歳は14.4%も増加しています。
当たり前ですがこの表は年を経るごとに単純に右側に遷移していきます。25〜34歳の正社員数が大体1,000万人超で安定しているので、この年代が35〜44歳になる10年後には45歳あたりでの分断はなくなっていると思いますが、少なくともあと5年くらいはこの傾向が続くと思われます。
15~24歳 (万人) | 25~34歳 (万人) | 35~44歳 (万人) | 45~54歳 (万人) | 55~64歳 (万人) | 65歳以上 (万人) | |
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2015年 | 471 | 1,069 | 1,338 | 1,191 | 874 | 360 |
2016年 | 494 | 1,063 | 1,320 | 1,236 | 878 | 400 |
2017年 | 503 | 1,057 | 1,301 | 1,279 | 894 | 426 |
2018年 | 543 | 1,056 | 1,286 | 1,326 | 916 | 469 |
2019年 | 560 | 1,048 | 1,250 | 1,363 | 935 | 503 |
増減率 (2015 vs 2019) | 18.9% | -2.0% | -6.6% | 14.4% | 7.0% | 39.7% |
40歳前後の正社員が減っていく状況をどのように捉えるか
上述したとおり40歳前後は今まさに働き盛りなだけではなく、企業にとって今後の経営を担う人材を選抜・教育していく重要な年齢層です。しかし、少子化と就職氷河期に極端に採用数を絞ったことにより、毎年従業員数が減っています。
今後50歳前後の役職者の役職定年や定年退職などにより急速にポストが空いていく中で、次世代を担う人材が不足していくと考えられます。特に事業規模を維持していく必要のあるグローバルな大企業ほどこういった傾向があると思います。現在の正社員の年齢構成を考えると、企業側には40歳前後の優秀な人材を中途採用する動機があるのではないでしょうか。
40歳前後での転職にはステップアップのチャンスがあると思います。私は35歳の時に転職しましたが、同じ月に入社した転職同期の中でも特に年上という訳でもなく、40歳以上で入社している人も多数いました。少なくとも数年前に言われていたような「35歳以上は転職出来ない」、といったようなことは全く根拠がありませんし社会的にも転職に対する意識は変わってきていますので、転職したいと思っている方はチャレンジしてみて損はないと思います。