書籍
ハーバード・ビジネス・スクールの投資の授業
中澤知寛(著)
CCCメディアハウス / 2016年07月22日
概要
HBSで学んだ投資の考え方を紹介した一冊です。普通は「何に」投資するかだけを考えますが、ハーバードでは「何を」「どのように」という観点から検討することも学びます。
「何を」
「何を」ではどのように情報を集めるかがポイントになります。機関投資家の成績が良いのは所在地近くの企業に投資しているケースで、情報がより集めやすいからと考えられます。また、投資に関する情報は基本的に公開されているもので十分ということが分かっており、CIA出身者が諜報員のスキルを使って決算発表時の動画から情報を読み取ったりもしています。決算発表の情報はすぐに広まるので株価へも即座に反映されるような気がしますが、実際には数ヶ月かけてゆっくり反映されていくことが分かっています。
「どのように」
「どのように」では行動経済学の知見から自分をコントロールすることを学びます。利益よりも損失の方が心理的ダメージが大きいとか、利用可能性ヒューリスティック、ホットハンド、アンカリングなどを投資判断の前に常に注意することが重要です。
感想
日本の借金を解消していくには国民がもっと投資に興味を持って知識をつけていかなければならないという意識からこの本を書いたとのことですが、少しでも貢献したいという意欲がビシビシ伝わってきました。平易な筆致で初学者にも分かりやすく、これまでの断片的な知識を整理するという意味でもとても役立ちました。