書評

【書評・感想】ゲノム編集の衝撃【生命科学の最先端技術とは?】

2020年5月1日

書籍

ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー

ゲノム編集の衝撃
NHK「ゲノム編集」取材班(著)
NHK出版 / 2016年07月27日

評価 :4/5。

概要

ゲノム編集という生命科学の最先端技術についての取材をまとめた書籍です。

クリスパー・キャス9

クリスパー・キャス9という技術がブレイクスルーとなり、近年驚異的なスピードで研究が進んでいます。これまでの遺伝子操作技術は農産物の品種改良のようにひたすら突然変異を待つものを含めてある程度は偶然に頼らざるを得ませんでした。一方で、クリスパー・キャス9は狙ったDNAと同じ塩基配列のRNAを使って編集したい箇所をピンポイントで検索することが可能です。しかも、この遺伝子編集ツールはaddgeneという企業が研究目的であれば従来の1/100の価格で提供されており、オープンイノベーションとしての側面も持っています。

ゲノム編集技術の展望

ゲノム編集の適用範囲は農産物や食用動物の品種改良、HIVやがん・難病治療の研究など多岐に渡ります。特に医療分野での治療法の確立や製薬研究が大幅に進むことが期待できるように感じました。抗生剤による治療法では病原菌が進化してしまってイタチごっこになることもありますが、ゲノム編集であれば回避できるのかもしれません。