書評

【書評】直感力を高める 数学脳のつくりかた【最も効果的な学習方法とは?】

2020年4月19日

書籍

直感力を高める 数学脳のつくりかた (河出文庫)

直感力を高める 数学脳のつくりかた
バーバラ・オークリー(著)、沼尻由起子(翻訳)
河出書房新社 / 2016年05月16日

評価 :4/5。

概要

最も効果的な学習方法とはどのようなものでしょうか?本書では脳科学の知見から最適な学習方法について述べられています。

脳科学の知見から学習の方法を考える

学習は物理的には脳神経に新たな回路を形成することに相当するというのが本書の基本的な主張です。新たな神経回路が形成・定着するためにはスポーツや演奏技術と同様に反復練習が必要で、一夜漬けなどの短期間の学習は効果がないことが明らかになります。

「拡散モード」と「集中モード」

著者は脳には「拡散モード」と「集中モード」という二つの状態があり交互に使用するのが良いと言っています。普通は「集中モード」で長時間同じ教科や課題に取り組みますが、いったん休憩することで「拡散モード」に切り替わると、脳はバックグラウンドで学習を継続するようになります。散歩やシャワーの時に「集中モード」でずっと解決できなかった問題の解決策が閃くことがあるのは「拡散モード」で自動的に脳が問題解決を継続していたことによる効果と言えます。なお、最強の「拡散モード」は睡眠です。

学習で最も効果的な方法は思い出すこと

学習で最も効果的な方法は繰り返し思い出すことです。物理的に脳の新しい神経回路を形成する必要がありますが、そう簡単に神経回路は形成されません。繰り返し思い出すことで新しい神経回路を強化・定着させることが重要になります。繰り返し書籍を読んでも効果はなく、自力で思い出す練習をすることが必要と述べられています。