書評

【書評・感想】反脆弱性 ーー不確実な世界を生き延びる唯一の考え方【反脆弱性という新しい概念】

書籍

反脆弱性 [上] ーー不確実な世界を生き延びる唯一の考え方
ナシーム・ニコラス・タレブ(著)、望月 衛(翻訳)、千葉 敏生(翻訳)
ダイヤモンド社 / 2017年06月21日

評価 :4/5。

反脆弱性 [下] ーー不確実な世界を生き延びる唯一の考え方
ナシーム・ニコラス・タレブ(著)、望月 衛(翻訳)、千葉 敏生(翻訳)
ダイヤモンド社 / 2017年06月21日

評価 :4/5。

書評

「反脆い」もしくは「反脆弱性」という新しくて分かりづらい概念を説明している書籍です。著者はブラックスワンで有名なタレブ氏で、上・下巻の二巻構成になっています。

本書の肝となる概念について引用します。

衝撃を利益に変えるものがある。そういうものは、変動性、ランダム性、無秩序、ストレスにさらされると成長・繁栄する。そして冒険、リスク、不確実性を愛する。こういう現象はちまたにあふれているというのに、「脆い」のちょうど逆に当たる単語はない。本書ではそれを「反脆い」または「反脆弱」(antifragile)と形容しよう。

反脆さは耐久力や頑健さを超越する。耐久力のあるものは、衝撃に耐え、現状をキープする。だが、反脆いものは衝撃を糧にする。この性質は、進化、文化、思想、革命、政治体制、技術的イノベーション、文化的・経済的な繁栄、企業の生存、美味しいレシピ(コニャックを一滴だけ垂らしたチキン・スープやタルタル・ステーキなど)、都市の隆盛、社会、法体系、赤道の熱帯雨林、菌耐性などなど、時とともに変化し続けてきたどんなものにも当てはまる。地球上の種のひとつとしての人間の存在でさえ同じだ。そして、人間の身体のような生きているもの、有機的なもの、複合的なものと机の上のホッチキスのような無機的なものとの違いは、反脆さがあるかどうかなのだ。

分かりづらい概念ではありますが、本書を読み進めるうちに自分の周りにも「反脆い」システムがありふれていることに気づきます。特に生態系は最も分かりやすい反脆弱なシステムと感じました。地球という生物にとっての生存環境が長い年月をかけて変化し続ける中で、多数の生物が存在することが全体として反脆弱なシステムになっています。一方で一つの種に視点を移すと、環境の変化に適応できずに絶滅する種はいつでも存在するので「脆い」と言えます。多種多様な「脆い」種が存在することが、全体として「反脆い」生態系というシステムを形成しているという考え方です。

本書では他にもあらゆる事例や視点から反脆弱性について検証されており、世界を理解する新たな視点を得ることができ、視野が広がったと感じます。