【書評・感想】興亡の世界史 近代ヨーロッパの覇権【工業化と国民国家】

【書評・感想】興亡の世界史 近代ヨーロッパの覇権【工業化と国民国家】

書籍

興亡の世界史 近代ヨーロッパの覇権
福井憲彦(著)
講談社 / 2017年10月10日

評価

評価 :3/5。

書評

工業化の発展と国民国家の概念の成立が特に重要で、これらを軸に所謂長い十九世紀に起こった出来事とその関係について概説されています。

十八世紀まではヨーロッパよりもむしろアジアの方が豊かだった中で、工業化によって次第にヨーロッパが近代化し始めます。また、ポルトガルやスペインがインドやアメリカ大陸へ進出し始め、イギリスとフランスはインドや北アメリカの植民地を巡って対立していました。このようなヨーロッパの状況において、宗教よりもむしろ合理性に基づいた啓蒙思想が政治や経済においても求められるようになっていきます。

十八世紀の啓蒙思想によるさまざまな模索のなかから、十九世紀における産業資本主義経済発展の基本となる発想が用意され、政治的な自由と平等という西欧型の民主主義の理念、あるいは自然科学や社会科学を問わず、近代学問の整備につながっていくような論理的な発想が用意されていったことこそ、歴史的に評価しなくてはならないであろう。

本書では十九世紀がヨーロッパの世紀というのであれば、二十世紀後半はアジア・アフリカにとっての国民国家の時代であるとも述べられています。ヨーロッパから始まった近代化の流れが時間をかけてヨーロッパの植民地にされていた地域に広がっていると捉えることもできるかもしれません。