書籍
おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス
藤野 英人(著)
日経BP / 2021年11月09日
書評
ファンドマネージャーである著者が投資業務を通して日本の将来をどう感じているかということが語られている書籍です。一般的には日本の時価総額ランキングにほとんど新しい企業が入ってきていないなど、非常に硬直したビジネス環境を背景に日本の将来はネガティブに捉えられることが多いですが、著者は明るい見通しを持っているようです。
テクノロジーの社会実装、働き方の変化、ダイバーシティ、地方といった観点から現時点で既に一定の成功を収めている企業について紹介されています。これらの企業は社会課題の解決とビジネスとしての継続性の両方をクリアしており、更なる成長が見込めるように思います。また、それぞれの創業者に投資家としての著者が強く共感した上で投資をしていて、彼らの情熱が伝わってきます。自分ももっと頑張らないといけないな、とモチベーションが上がります。
一方でここで紹介されている企業含めて日本のスタートアップが将来GAFAのような世界を支配するほどの強大な存在になるポテンシャルがあるかというと、そこまで信じられる状況にはなく更なるハードルがあるかもしれません。良い意味で期待を裏切ってくれることを期待したいと思います。ベンチャー企業への就職・転職を考えている人に特におすすめできる書籍です。