書評

【書評・感想】ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考【生命原則を客観的に理解した上で主観を活かす思考法】

2021年3月6日

書籍

ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考 
高橋祥子(著)
ニューズピックス / 2021年01月06日

評価 :3/5。

書評

生命原則を客観的に理解した上で主観を活かす思考法が本書のテーマです。ジーンクエストという生命科学をベースにしたスタートアップ企業の経営者である著者が、生命の原理原則を個人の生き方や組織運営に役立てる方法についてエッセイ的に語る内容になっています。

人間が生命として持つ性質はさまざまな課題を生み出しますが、ドーキンス氏も言及したように、生命の原理原則を理解した上で、この世界の困難に立ち向かうことができるのも人類の特徴です。生命の原則を理解すれば、人類は単純に生物的な本能に支配されるよりもずっといい未来に進むことができると私は信じています。本書は、その考え方をみなさんと共有するために執筆しました。

その一つとして「快楽」と「幸福」が挙げられています。この二つは似ているように見えますが、「快楽」は一時的な生体反応による短期的な視野、「幸福」は精神的な満足度といった長期的な視野、というように時間軸の違いで捉えています。生物は基本的には快楽が得られる行動を優先しますが、このような時間軸の違いを客観的に捉えることで自身の行動をコントロールできると述べています。

そのほかにも生物と企業を多様性の観点から対比させるなど、研究者と経営者を掛け合わせた著者のバックグラウンドから導き出される考えを学ぶことができます。エッセイ調で難解な技術面の記述は少ないため、生命科学とビジネスのどちらかに興味があれば面白く読むことができると思います。ただし、文章が少し冗長で同じセリフを使い回す傾向があるので若干の読みずらさがあるところが難点です。