書籍
フランス史「中世」<1>
ジュール ミシュレ(著)、桐村泰次(翻訳)
論創社 / 2016年08月01日
書評
19世紀の歴史家ジュール・ミシュレが七月革命期に構想したことから本書が生まれました。古い書籍ですが一次資料を調査することの必要性について冒頭で述べられており、客観性の高い内容となっています。
しかも、一八三〇年ごろまでは、歴史家の誰ひとりとして、印刷された本に書かれている以外の事実や原資料、国立文書館に保存されている古写本だの古文書を調べる必要性を感じていなかったことも事実である。一八二〇年から一八三〇年にかけて輝きを放ち、《歴史学のプレイアッド》と呼ばれているバラント、ギゾー、ミニェ、ティエール、オーギュスタン・ティエリといった人々も、その目指した歴史はさまざまな特定の視点からのそれであった。
フランス史「中世」<1> p.3
フランス史「中世」は6巻構成となっており、本書はその第1巻です。ガリアが共和政ローマに征服される前から西暦1000年頃のカロリング朝の滅亡までが記述されています。ケルト人・イベリア人・ローマ人・ゲルマン人といった民族の視点でフランスという国家が形成される過程を見ることができます。
19世紀の書籍らしく難しい表現がないとは言えませんが、特に読みずらさを感じることなく小説に近い感覚で読み進めることができました。