【書評・感想】自分の頭で考える日本の論点【働き方・移民・言論・投資・・・】

【書評・感想】自分の頭で考える日本の論点【働き方・移民・言論・投資・・・】

書籍

自分の頭で考える日本の論点
出口治明(著)
幻冬舎 / 2020年11月25日

書評

働き方、ネット言論、移民や投資といった23の論点について「タテ・ヨコ・算数」という視点で著者の考えが述べられています。タテは時間軸で歴史の視点、ヨコは地理的な軸で他の地域や国の視点、算数はデータと事実に基づいたロジックという意味で使っています。

本書では論点ごとに「基礎知識」として議論となるポイントや問題の説明があり、その後に著者の考えが続くという構成となっています。論点3の働き方に関する項では基礎知識の部分で残業時間、高度プロフェッショナル制度と同一労働統一賃金が問題として取り上げられています。これらの問題に対して、著者はGDPと労働時間を用いて日本の働き方の効率の悪さを他国と比較したデータで解説しています(ヨコと算数)。その後は歴史的になぜ日本の生産性が低くなっているのかということを、製造業の工場モデルやダイバーシティの側面から述べています(タテ)。また、日本が低学歴社会であるということはあまり報道されない事実ではないでしょうか。

大学進学率は50%を少し越えたレベルで、先進国クラブであるOECD(経済協力開発機構)加盟37カ国の平均を7ポイントほど下回っています。日本は2人に1人しか大学に行かない国なのです。さらに高等教育在学率(18〜22歳人口を分母に、高等教育機関在学者を分子に置いた割合)は、全世界で見ると100位以下という酷さです。

物事を多面的に判断するためのツールとしてタテ(=歴史)を使っているところが著者独特の思考法だと感じました。ヨコ(=他と比較)と算数は論理的思考をする上では当たり前ですが、タテを使うことでデータの解釈の誤りや偏りを見つけられているように思います。日本が抱える課題について論理的かつ平易な文章で述べられているので、考え方の一つとして取り入れてみたい方にはお勧めの一冊です。